2014年5月17日土曜日

麦茶

小学生運動会の時、ある友達が甘い麦茶を持ってきていた。
僕は飲んでいないが
周りの友達がみんなで回し飲みをして、甘い、甘いと言っていたのでそれが甘いとわかる事ができた。
その友達は砂糖入りの麦茶の一件でヒーローになった。


数カ月後、小学校の行事で筑波山に登る事になった。
出来れば雨になって中止になって欲しい、出来れば当日までに風邪を引くか
足を骨折するか、そんなことばかり考えていた。
僕にとっての良い方向とは風邪を引くか、足や腕を骨折する事だった。


良い方向には偏らない僕、風邪も引かず、骨折もしないで当日を迎えた。


当日の朝、ある事が頭の中をよぎった。
そうだ、麦茶に砂糖を入れてみよう
僕は数カ月前の砂糖入り麦茶でヒーローになった友達の事を思い出した。


お弁当の脇におやつの文旦飴、うまい棒、そして麦茶が入っている水筒を見付けた。
砂糖が入っていると思われる四角い容器が二つある、二つとも同じ形の容器。
僕は間違えてはいけないと味見をする事にした。


右が砂糖だと勝手に思っていた僕は左の容器の味見をする事にした。
何故なら元来良い方向にはいかない僕だから右が砂糖ではないと感じたからだ。


恐る恐る左の容器の蓋を開け味見をしてみる。
しょっぱかった。


そろそろ出発する時間だ、僕は右の容器に入っている砂糖を水筒に入れ家を出た。


バスで筑波山に行き山登りを開始して数十分、先生が休憩の合図をした。
みんなが思い思いのおやつや飲み物を口にしている時にある友達が僕のところに来た。


何だろう、おやつ全部取られるのかな?
と思っていると飲み物ちょうだいと言ってきた。
僕には断る理由などどこにもない、むしろみんなに配りたいくらいだ
何故ならヒーローになれる砂糖入りの麦茶を持ってきているのだから。


友達が水筒の蓋を開け、それをコップ代わりに麦茶を注いだ。


おい!甘ぇじゃないか!
その友達の一言でみんながこちらに振り返り、そして近寄ってきた。


僕はやっと仲間になれるんだ、ヒーローにならなくても良いから仲間になれればいいんだ
そう思った。


でも違う、なんか違うのが今までの経験からわかった。


うぅ~、なに砂糖なんか入れてきてんの!こいつ麦茶に砂糖入れてきてやんの!
その後は想像道り、僕は麦茶に砂糖を入れたらいけないらしい。


おい、サトムギ!おい、サトムギ!
みんなで僕をそう呼ぶ。


何をやってもまるでダメ。

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