2014年5月16日金曜日

ファミコン

小学生の時、ファミコンが大ブームになった。
しかしながら僕はファミコンを持っていなかった。


毎日学校に行くと友人たちが昨日プレイしたファミコンの話題で持ちきり。
僕は思った、いつか僕もファミコンの話題で友達の輪に入れると。


ある日、学校から帰ろうとしたときにある友達が僕にこう言った 
【今から俺んちでファミコンやるんだけど来る?】


僕には断る理由など無い 【うん、行く!】


友達数人とその誘ってくれた友達の家に着いた。


テレビで見るような豪邸、広い玄関、部屋中に漂う良い香り。
少し寒い友達の部屋に入りファミコンの準備をした。
したと言っても僕はそれを見ているだけだった。


コンコン・・・
どうやら友達のお母さんが気を利かせてスナック菓子と熱いココアを持ってきてくれた
皆で友達のお母さんにお礼を言い、皆がスナック菓子をほおばるのを見ていた
そろそろ僕も食べてもいいかな、と勝手な判断をしスナック菓子に手を伸ばしたところ
友達が僕の手を払いのけた。
やっぱりダメなんだ、僕は心の中でそうつぶやいた。


心の中ではシュンとしていたが顔には出さず、皆がスナック菓子を食べているのを目が合わないように見ていた。


友達が僕にこう言った 【ココア飲めよ】
僕には神の声とも天使の声とも聞こえた。


ありがとう、僕は満身の笑顔でそう答えた。


湯気が立っているおいしそうなココア、僕はいただきますと言い熱いココアが入っているカップを
右手に持ち、口元に運ぶところで友達がこう言った


【口付けるなよ】


僕は耳を疑った、まさか?なんで?戸惑っている僕を見て友達がちょっと貸してとカップを奪った


僕は嫌な予感がした、まるっきり同じ体験は無かったけど良い方にはならないだろうな
と 本能的に感じているようだった。


悪い予感は百発百中の僕。


予感は大当たり、口を開けろと言われ、言われるままに口を開け
熱いココアを注がれた。


【熱い】 申し訳ないがそう言って口元から少しこぼれて絨毯に垂らしてしまった。


友達はこう言った【はぁ~い、弁償ね!】
誰からともなく合唱が始まった、べぇ~んしょう♪ べぇ~んしょう♪ べぇ~んしょう♪ 


僕は流した涙が絨毯にたれないように友達の部屋を出で一階に居た友達のお母さんに謝罪をし
逃げるように帰った。


家に帰ったらその日は僕が大好きなカレーライスだった、ありがとう。



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